失明が怖い。
布団をかぶって目を開けたときの暗闇が、一生続くのだ。
一生、真っ暗闇の中で過ごすのだ。
目の病気を患っているわけではないが、四六時中この恐怖でいっぱいになる日々が長く長く続いた。
馬鹿馬鹿しいと思っても取り除けない強迫観念だった。
心療内科でこの恐怖を訴えたけど、
「じゃあワイパックス飲みますか」と言われ、
薬に頼るほどではないので大丈夫ですと言って帰った。診察時間は約3分。お医者さんは薬を出すだけの人だと思い知らされ、お家に帰って、うどんをすすりながらコッソリ泣いた。
目が見えることはどれだけ素晴らしく幸せなことだろう。目が見えないのに生活している人たちはなんて強いのだろう。